「お勧め銘柄」を信じて万馬券を狙うと財産をスッてしまうかも

投資をはじめようと、マネー番組を見たり、投資セミナーへ足を運んだりすれば専門家と称する方々が決算書を片手に「この銘柄の業績は、○○%上がる見込みです!」なんて言い方でお勧め銘柄について説明してきます。さっきの予想はタイミングを当てるやり方でしたが、こっちの予想は「1番業績が伸びるのは、これだ!」と業績の伸びを当てるやり方です。競馬にたとえれば「この万馬券を買いましょう!」と、言っているようなものなのです。

Wさんは、そんな「専門家の予想」が大好きで、毎週、テレビのマネー番組を欠かさず見ていて「お勧め銘柄」が紹介されると、「よし、この銘柄だっ!」と、証券会社に電話して1本釣りをはじめます。こうして買った銘柄には、上がったものも、下がったものもあります。現在、Wさんが持っているのは3銘柄だけですが、上がった銘柄に関しては「あの先生の予想は当たるなぁ」と感心して、2割儲かったところで売却し、下がった銘柄については、すぐに他の銘柄に買い換えてしまいます。

こうして1年間に持っている銘柄が5回くらい変わります。結局、儲かるときには、3ヶ月間で20%利益が出ますが、損をするときには、3ヶ月間で半値になるので、Wさんはトータルでは損をしているわけです。でも、自分が傷つきたくないから「いくらの損をしてきたか」なんて、絶対に確認しませんし、投資仲間との飲み会では、儲かったときの自慢話しかしないため、Wさん自身も儲けてばかりいると錯覚しています。

実は、こうした錯覚はテレビのマネー番組によって作り上げられた世界なのです。マネー番組では「専門家の予想が、数ヵ月後には、どうなったのか?」を決して放送しないからこそ放送が成り立っているのです。たとえば「3ヶ月前の予想は、大外れでしたね!」なんて、司会の人が切り出したら、専門家のいうことを誰も信じてくれなくなって、視聴率が下がった挙句、スポンサーから番組が打ち切られてしまいます。

それなのに、世の中にはWさんみたいな投資家が何百万人もいて、自分が損をしたことから目を背け、都合よく忘れているのです。そんな人が多いから、マネー番組やマネー雑誌に専門家の予想なんてものが掲載され続けているわけです。そんなものに引っかかるなんて、ちょっと笑っちゃいますよね!

当たりが分からないなら、いろいろ揃えるしか方法がない

アメリカには凄腕の証券マンが自分のお金を使って株式投資を競う「投資選手権」という大会があります。そんな凄腕が集まっているのに、ある年の結果は3500人の選手のうち、利益を出したのは全体の22%に過ぎなかったということです。証券会社の凄腕といえども、この程度に過ぎません。

同じように、マネー番組やマネー雑誌で「この銘柄がお勧めだ!」とやっている専門家と称する人たちの予想も、推してしかるべきというもので、要するに天気予報と同じだということなのです。誰だって明日の天気が気になるから毎晩、天気予報を見ますよね。でも、天気予報は当ることも多いが外れることも多い、と私たちは経験から分かっています。

天気予報では、翌日には予報が正しかったか否かが分かるので、いい加減さがはっきり頭に焼きついてしまいます。しかし投資予想では数ヶ月後にならないと、予想の結果が分かりません。つまり、いい加減さがはっきり頭に残らないのです。これが「投資の世界」のカラクリというものです。

こんなカラクリの中でWさんのように専門家を信じて、丁半博打をやっている投資家は山ほどいます。こんな丁半博打をやって「大学」や「老後」の資金を大損した挙句「専門家の○○さんを信じていたのに…」と恨めしそうに愚痴っている人もいるものですが、天気予報に全財産を賭けている場合じゃありませんよ。そして、仮に予想の1銘柄が当たって、数倍になった場合でも、安心してばかりはいないこと。

「大学」や「老後」の準備というのは、数十年間にも及ぶことになりますが、その会社が倒産すれば、長年の苦労が水になる可能性もあるからです。「この会社は、優良企業だから大丈夫!」という保証はどこにもありません。破綻することなど思いもしないような大企業が、いきなり倒産するケースは、枚挙に暇がありません。こんな具合に株式投資をはじめる場合には「推奨銘柄」が当たりになるとは限らないし、倒産する可能性だってあるわけなので、結局は、いろいろな銘柄を持っているしか方法がないのです。

学校では、親身になって指導してくれる先生の意見や、相談に乗ってくれる友達の意見は、とてもかけがえのないものであって「人を信じなさい」と教えられるものですが「投資の世界」では先生と呼ばれる人たちの予想は「あんまりあてにならない」と高を括っておいたほうが良さそうです。

「3万円」の積立投資には、株式投資信託を利用する

大学と老後の準備には株式と債券を使いますが、特に、毎月3万円とか5万円を投資する「積立投資」では、株式の投資信託を利用します。先述したように、たった1つの会社の株式に投資すれば、株式市場全体は値上がりしても、その銘柄だけが値下がりする可能性があります。また、最悪の場合には、その会社が倒産してしまう可能性もあります。

そこで、たくさんの株式を揃える必要があるわけですが、たとえば、自分の生活の中で利用している企業の株などを揃えるだけでも、3万円では足りなくなりますし、好きな銘柄はその他にもあるはずです。ここで、投資信託とは、ひと口1万円という小口にわけて、たくさんの投資家から資金を募り、まとまった資金でいろいろな株式や債券を買い揃えて、利益が出れば、口数に応じて分配するという仕組みの商品です。そのため、1万円で数百の株式銘柄を揃えることができるのです。

したがって、大学や老後の準備では、自分の気に入った銘柄が入っていて、過去のトータルリターンやシグマが株式市場の平均株価からあまり離れていない、株式の投資信託を1つだけ選んで、毎月、同じ金額を、同じ投資信託へ投資していきます。その際に1つだけ注意事項をあげるなら、自分で選んだ株式投資信託が、値下がりしようが、値上がりしようが、毎月、同じ金額で、同じ投資信託を買い続けるということです。たったこれだけのことに気をつければ、誰でも簡単に「積立投資」がはじめられます。

— posted by 郷田 at 01:55 pm